「心がスッと軽くなる認知行動療法ノート」|「看護師辞めたい」を考える時のワークブック

ミスしたことが頭の中をぐるぐるして、
ずーーーっと同じことを考えていることはありませんか?

ひとり反省会を毎晩している、そんなあなたにお勧めの一冊です。
「心がスッと軽くなる認知行動療法ノート」福井 至 ナツメ社

この本は「ノート」というタイトル通り、書き込み式になっています。
「書き出す」というシンプルな方法で、心の中に溜まったモヤモヤを可視化し、整理する手助けをしてくれます。
看護の現場は、責任感とプレッシャーがつきものです。
気分転換が必要なことはわかっているけど、できなくて、頭の中から離れない。
病棟で働いていたころ、分刻み、秒刻みで走り回っていました。
「忙しすぎて患者さん一人ひとりに丁寧に接する余裕がない」
そして、「しょうがない」とあきらめてもいました。
決められた業務、オペ出し、検査出し、リハ出し、指示受け、入院受け。
しなくてはいけないことをとにかくやらなくては、その日の業務が終わらない。
そういう毎日で、だんだん不満もたまっていきます。
怒りだったり、不安だったりする感情を書き出すことで、
それがどんな思考パターンから来ているのかを客観的に見ていく、
そういう作業をおこなうことができます。

気持ちの整理のしかたを練習する、とも言えると思います。
「もう頑張れない」「自分は看護師に向いていない」と思うことはありませんか?

認知行動療法(CBT)のエッセンスが詰まったこの本では、
そうした思い込みを少しずつほぐし、
「私は十分やれている」「今の状態でいい」と感じられるようになる
具体的な方法が紹介されています。
ストレスは完全に消すことはできません。
でも、この本を活用すれば、ストレスとうまく付き合う方法が自然と身についていきます。
さらに、もうひとつの使い方があります。
この本は自分が書き込むワーク式ですが、自分で書き込まなくても、
「患者さんにこういうふうに問いかければいいのか」という、
どう関わっていくか、という参考書としても使えます。
「私はミスばかりしている」と思っている患者さん。
他人からみれば、できていることもあるでしょう。

〇〇はうまくいかなかったけど、△△はできたよね。
できていることもちゃんとあるよ。
と言ってみましょう。
反応は微妙かもしれません。でも、著者はこう言っています。
プラスの面を否定してきた人にとっては、すぐには受けいれがたい考えかもしれません。でも、それでいいのです。
その考えを思い浮かべながら日常を過ごしていれば、それが現実であることが実感できるようになります。
心がスッと軽くなる認知行動療法ノート 引用 38ページ
認知行動療法に取り組む目的でカウンセリングなどに通っている人とは違って、
はっきりした反応は返ってこないでしょう。
処置などケアをしながら、少しずつ関わっていくことしかできない。
それでも、時間がかかっても「別の考え方」や「とらえ方」を増やしていく、
という観点が必要なのです。
新しい考えをまったく受け入れられないときの次のステップもこの本には書いてあります。
マイナスの感情にとらわれているのは本当に苦しいことです。
そして別の考え方をみつけて、取り入れていくことも、簡単ではありません。
つらいことがあったとき
Lesson4
心のつぶやきは事実?
それとも思い込み?
ものごとをありのままに見るのは、むずかしい
引用 34ページ
自分が今、つらいと思っていること、考えていることの反論を出していくワークです。
認知行動療法の最初のハードルってこれじゃないかと思っています。
自分が思っていることへの反論ってなかなか出てこないです。
そこで、「自分の友人に同じ相談をされたらどう返事するか」を想像してみましょう。
それでも思いつけなかったら、「AIに尋ねてみる」をやってみましょう。

私は看護師です。今、認知行動療法ワークブックをしています。
「△△の場面で、◇◇と言われました。あの上司は私のことを〇〇だと思っている。」に反論する思考を教えて。
自分の立場、目的など具体的に示すと良いようです。
AIから返ってきた答えに質問を返すとそれについて答えてくれます。
納得がいくまで話し相手になってもらいましょう。
AIにも手伝ってもらいつつ、このワークをしていくとLesson5で
新しい考えをまったく受け入れられず、とても真実とは思えないというときは、声に出してつぶやいてみましょう。
認知行動療法は、
飲めばすぐ効く解熱鎮痛剤のようなものとは違っていて、
練習が必要なんですね。
〇〇療法という名前だし、治療って、処置を受ける・検査する、のような受け身な印象ですが、「レッスン」ってそもそもレッスン後の練習が必要なものです。
ストレッチや筋トレのように、継続して少しずつ変わっていくトレーニングである、
と考えて取り組んでいくと、きっと役に立つ本です。

